嫉妬の陰謀/ビジョン心理学チャック・スペザーノ博士ハートブレイクには恩恵が隠されている
絆を失ったり、過去のハートブレイクにとらわれたり、依存の状態に陥ると、私たちは不安に襲われてしまいます。嫉妬とは、そんな不安感から生まれる感情です。嫉妬には、さまざまな思い(喪失感、怖れ、怒り、罪悪感、競争心、捨てられた、傷つけられた、拒絶された、復讐したい、自分には価値がない、相手を独占したいなど)が複雑に混ざり合っています。これほどつらい思いが重なり合っていれば、嫉妬に襲われた人があっという間に心を引き裂かれ、ハートブレイクに至ってしまうのも当然と言えるでしょう。一度でも嫉妬にとらわれると、私たちはパートナーをしつこく苦しめたり、極限まで追いつめたりして結局相手を失うことになってしまいます。嫉妬が、破壊的で自滅的な感情の悪循環を生み出してしまうからです。この非常に激しい性質のため、嫉妬はたちまち陰謀に姿を変えてしまうことになります。
ほとんどの場合、私たちは嫉妬から分離し、自立しようとしてしまいます。嫉妬とはそれほど苦しく過激な感情だからです。たとえば、自分の兄弟にやきもちをやく。あるいは、片親しかいない人が両親のいる人をねたましく思う……。そんな嫉妬から我が身を守るため、私たちはパートナーや人間関係、愛、セックスを「大して価値のないもの」と考えるようになってしまいます。そうすれば、それらが手に入らなくても傷つかずに済むからです。私たちが孤立を深めたり分離したりするほど、パートナーはさらに依存し、嫉妬を募らせることになってしまいます。こんな状態では、幸せな恋愛関係など築けるはずがありません。嫉妬を癒すための有効手段はただひとつ。ハートブレイクの原因となった古傷を、ひとつずつ癒していくことにほかなりません。私たちは嫉妬に襲われると、パートナーがいつも安全な存在でいるよう支配しようとしてしまいます。たとえこの試みが成功しても、パートナーは安全すぎてつまらない存在になってしまうでしょう。でももっと可能性が高いのは、パートナーの反発によって権力争いや戦いが生まれ、二人ともさらに傷ついてしまうという結末なのです。
嫉妬の陰謀は、ハートブレイクの最も一般的な原因のひとつです。最悪の場合、強烈な心の痛みのせいで、分別だけでなく正気まで失ってしまうこともあります。助けを求めて絶望的に泣き叫べば、私たちの魅力は一気に薄れてしまうでしょう。こちらの叫びに応えてくれるような、よほど成熟したパートナーでない限り、彼らも追いつめられてしまうはずです。非常に自立したパートナーの場合、この状態は脅威となるに違いありません。そもそも彼らは自分の中で高まるニーズ、依存、嫉妬を切り離したくて自立を選んでいるからです。たいていの場合、私たちは嫉妬の補償行為として自立を選びますが、それでは癒しのプロセスを遅らせてしまうだけです。本当に効果的なのは、嫉妬を癒すやり方以外にありません。嫉妬を隠したままだと、私たちはその感情をいつまでもパートナーに投影し続けてしまうのです。
- ハートブレイクの原則
嫉妬は苦しく爆発しやすい感情で、すぐに陰謀に姿を変えてしまいます。そして必ずと言っていいほど、ハートブレイクを引き起こしてしまうのです。
- 癒しの原則
許す、手放す、受け入れる、理解する、つながる、心の古傷を癒す……。これらの方法を通じてのみ、私たちは自信に満ちた、適切な行動をとることができます。
- 癒しのアドバイス
自分の嫉妬深さに気づいたら、それを根本から癒すことに全力を傾けてください。そうしないと、何度も嫉妬に襲われる羽目になってしまいます。またパートナーの嫉妬深さに気づいたら、「それは私の心の古傷の投影にほかならない。自分はそうすることで、嫉妬を切り離そうとしているのだ」という事実を認めましょう。あなたが本当によきパートナーなら、自分のパートナーに思いやりを持って接し、愛と支援を与え、成長を促し、励まし続けられるはずです。たとえ励ましなど聞こえないふりをしていても、パートナーはあなたの一言一句に耳を傾けています。パートナーが嫉妬から解放されるにつれ、二人とも前進し、あなたの隠れた嫉妬も癒されていくのです。 嫉妬深いパートナーとつき合うことより恐ろしいのは、自分自身が嫉妬深くなることにほかなりません。パートナーに手を差し伸べ、積極的につながり、苦しさから救う手助けをしましょう。そうすれば二人とも無駄な苦しみを味わうことなく、穏やかなときを過ごすことができるのです。
- 癒しの選択
「私は、パートナーや自分の中に現れた嫉妬を癒すことに全力を尽くします」
- 癒しのエクササイズ
自分自身を許し、パートナーを許しましょう。自分のニーズを手放し、パートナーと完全にひとつになるまで何度もつながります。パートナーの心にあなたの心が寄り添います。パートナーの気持ちにあなたの気持ちが重なります。パートナーの内面の光とあなたの内面の光がひとつになります。その様子をしっかりと見て、感じとってください。さあ、次の空欄を埋め、あなたの嫉妬の根本原因を見きわめましょう。
☆もしわかるとしたら……
・私が嫉妬に苦しみはじめたのは、( )歳のときだ。
・その嫉妬に関わっていたのは、( )さんだ。
・その嫉妬の直接の原因は、( )。
あなたのハイアーマインドにお願いし、この状況に関係している人全員を、自分の中心に戻してもらいましょう。自分の中心とは、私たちがごく自然に平和や愛、恩恵を感じられる場所のことです。何らかの理由で平和を感じられないときは、より深い自分の中心へ導いてくれるようお願いしてみましょう。関係者全員が自分の中心に到達し、心の平穏を取り戻すまで、この方法を繰り返してください。
あなたの内面の光(または魂)が、この状況に関係している人全員の光とつながるところをイメージしてください。彼らがどんな必要性を感じてそのような行動をとったのか、想像してみましょう。一般的にあなたが“痛み”を感じたら、その痛みこそ彼らの行動を導いた原因だと考えられます。どんな贈り物ならその痛みを癒せるでしょうか? さあ、あなたの心から彼らの心へ、その贈り物を手渡してあげてください。そうすれば、あなたも彼らもその過去の痛みから解放されるでしょう。
このとき自分がどんな気分になるかよく観察してみましょう。ものすごくよい気分になるかもしれないし、ほんの少し気分が上向くだけかもしれません。それは、あなたと彼らの間にどれだけ癒すべき事柄があるかによって決まります。大切なのは、完全によい気分になるまでこのエクササイズを続けることです。
最後にこう自問し、直感的に答えてみましょう。「私の心の中には、嫉妬のシャドーがいくつあるだろう?」と。そのすべてのシャドーを溶かし、ひとつの大きな嫉妬のかたまりをつくりましょう。ハイアーマインドにお願いし、その大きなかたまりを癒して形を変えてもらいます。そしてその形を浴かし、その変容した状態であなたの中へ戻してもらいましょう。
ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士