全き(まったき)心を与えることとハートブレイク①/ビジョン心理学チャック・スペザーノ博士ハートブレイクには恩恵が隠されている
チャック・スペザーノ博士の著書『ハートブレイクには恩恵が隠されている』より、一項目ごとにご紹介していきます。
「全き心を与える」とは、どういう意味でしょう?それは何のためらいもなく、自分自身を完全に与えきろうとすることです。この本では、全き心を与えるために必要な「癒しの方法」を紹介したいと思います。
癒しの方法は、たくさんの原則に基づいています。それらの原則は、私たちが演じている役割、陥っている罠、私たちの現在の人生と愛のレベル、癒しの基本法則、私たちの真の幸せのレベルを明らかにするものです。自分自身の枠を超えて人とつながり、全面的に、掛け値なしに自らを与えようとするとき、私たちはふだんとは異なる状態に到達します。より大きな満足感を覚え、自分の中で深い幸福感のほとばしりを感じるのです。「全き心を与える」とは、まさにそういう状態を意味します。
自分自身を全面的に与えることこそ、人生の困難を乗り越え、成功を手にするための一番の近道にほかなりません。全き心で自分自身を与えれば、創造性とヴィジョンが開けます。私たちはそれらを通じて心の扉を開き、新たな気づきと理解のレベルに到達し、すべての痛みを克服しながら、人生のあらゆる面での成功を手にできるのです。日常生活の心の痛み、罪悪感、挫折感に縛られることもありません。それらを超越し、自分自身の中に精神的な平和を見いだすことができます。「人々を助ける」という目的のために生き、彼らに癒しと平和の贈り物を与えられるようになるのです。
これにより、大半の問題は消え去っていきます。それらの問題は、私たちが自分の目的や運命を隠すためだけに使っていたものです。残りの問題は、私たちの目的を学ぶために不可欠なものにほかなりません。これからお伝えする原則は、「人間は精神的な存在である」という理にかなった信念に基づいています。人は皆、生命力となる精神エネルギーを持っているのです。神を信じようが信じまいが、このことに変わりはありません。それは私たちの体内に息づき、 生気を与えてくれる無限のエネルギーです。私たちがいきいきと成長するにつれ、私たちの創造性や愛、幸福、気力も高まっていくことになります。
この生命力の核となるのが、私たちの“贈り物”と精神的な平和、そして恩恵です。ストレスの絶えない多忙な日々の中で、私たちはこの中核の部分と交信できずにいます。ハートブレイクや日常的な問題がこの部分に積み重なり、ますます交信は難しくなるばかりです。さらにエゴが防御の層を張り巡らし、この中核部分をすっぽり覆ってしまうため、交信はほぼ絶望的になってしまうのです。
エゴは、私たちを周囲から孤立させてしまう自己概念のかたまりです。けんかや批判が大好きで、 あれこれと戦略や計画を練り、愛や成功とは無縁の勝利を手に入れようとします。
事態が悪化するまで徹底的に人を打ち負かすことこそ、エゴがめざす成功なのです。エゴとは、地位や職業、信仰のような外面的要素による身分証明にほかなりません。それらを失ったり傷つけられることに対して、私たちは怖れや不安を抱いてしまいます。たしかにエゴに従えば、華々しい成功を収められるでしょう。でもそれは決して真に価値のある、長期的な成功ではないのです。
多くの点で、エゴはスピリチュアリティ(精神的な豊かさ)の対極の存在と言えるでしょう。 エゴは、私たちが内なる中心に近づくのを邪魔しようとします。私たちが精神的な平和に到達すれば、エゴを特徴づける外面的要素はもう必要なくなってしまうからです。とはいえ、エゴが仕掛ける罠や企みは、平和に向かう私たちの歩みを多少遅らせるだけに過ぎません。 全き心を与えれば、“気づき”と“もう一度自分が誰であるかを見きわめる手段”がもたらされるため、私たちは内なる中心に到達できるのです。
ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士