ビジョン心理学の主要な3つの側面
ビジョン心理学は3つの主要な側面―人間関係、リーダーシップ、スピリチュアリティで成り立っています。
人間関係
人間関係の重要性と威力を理解することが成長のカギです。というのも、私たちの外側で起きる問題は、どれも実際には人間関係の問題だからです。人間関係を癒すことで私たちは人生のすべての側面を癒すことができ、他の人たちとつながる能力こそが、成長と癒しを加速化させるのです。そして、外の世界との関係はすべて自分自身との関係や神との関係を反映しています。
最も高い見地からみると、人間関係だけが今、実際に起きていることです。実際には、たったひとつの関係しか起きていないと言っても過言ではありません。まず相手があって、お互いを通じてその関係を体験しますが、こうした人間同士の関係をとおして、私たちはより高い次元との関係が自分にもあると気づくかもしれません。このより高い関係性に気づくようになると、心が開いて、生きとし生けるものとの絆や、つながることの喜びを受け取ることができるようになります。最も劇的に、また喜ばしい形で私たちに進化の道を進ませてくれるのが、この神性との関係なのです。
リーダーシップ
リーダーシップは困っている人たちに反応するということであり、助けようとする意欲です。リーダーシップは、前に進む道を見つけるために、外側に出ているサインを読み、内なるインスピレーションに耳を傾けることです。「ア・コース・イン・ミラクルズ」も言っているように、もしも私たちに助ける意欲があれば、周囲の助けを求める声が聞こえるでしょう。助ける意欲があれば、その助けを求める声に気づいて、目の前に立ちはだかるどんな問題も越えて前に進むことができるでしょう。問題の本当の目的は、こうした声が聞こえないように、私たちの邪魔をすることです。内側からであろうと、外側からであろうと何が私たちを引き止め、脅し、攻撃しようとも、それによって決してひるむことがないと決めれば、だれが私たちの助けを必要としているのかに気づき、その人たちに応えることができます。そうした人たちに手を差し伸べようとするとき、私たちは自分の問題を越えて進むことができるようになります。
手を差し伸べ、援助すると、私たちは双方が解放されます。どのようにその人たちを助けたらいいのか、何を言ったらいいのかさえも必ずしもわかる必要はありません。単に愛や援助を分かち合うことで自分自身を与えるだけでいいのです。人というのは、全面的に愛し、サポートしてくれる人がだれかひとりいれば、どんな困難も乗り越えることができます。このようにリーダーシップは他の人たちを助けながら、私たちをも助けてくれます。つまり全員が前に進めるのです。より広い意味では、ここには唯一私たち“ひとり”しかいません。ひとりが恩恵に浴するときはいつでも私たち全員が恩恵に浴するのです。どこを向いても、唯一私たち自身が見えるだけです。ひとりの人が癒されると、私たち全員が癒されます。
スピリチュアリティ
ビジョン心理学の三番目の側面がスピリチュアリティ、霊性です。これまで世界中の数多くの人たち、考えうる限りのあらゆる宗教の人たちと、こころにまつわる作業をしてきました。また成長の過程で宗教に苦しめられたという理由で、宗教に対して強い抵抗感を持つ人たちとも数多く接してきました。そこでわかったのは、信条、体験、姿勢の違いにもかかわらず、世界中の人たちが基本的には同じだということです。深く見ていくと、私たちが持って生まれた霊性や目的は、すべての意識に共通しているのがわかります。
人間の意識の中で、人と人との間に存在しているつながりと関係は、神性との関係をも表しています。この神性はあなたの外側にあるとも、内側にあるとも考えられる、ハイヤー・マインドと呼ばれる部分です。成長の過程を進むにつれ、そして幸せと豊かさのレベルが人生のあらゆる分野において高まるにつれ、私たちはもはや人生の具体的な側面を幸せの源泉とは見なさず、自然と目に見えない、霊的な側面により関心を持つようになります。幸せを追い求めていることに変わりありませんが、魂を幸せの源泉と見なし始めるのです。
私たちの魂が人生の旅を進んでいくにつれ、私たちは地球上でただ生きているというよりも、もっと大きい目的の方により惹きつけられるようになります。他の人たちとつながる能力が高まるにつれ、愛があらゆる人間関係で強まるのは自然なことです。ビジョナリーのレベルのつながりが、地上のあらゆる人たちとの間で大きくなります。この水平的な人間関係が十分に確立されると、天との垂直のつながりも拡大し始めます。
長崎県の平和公園は原爆爆心地の丘陵斜面にありますが、そこに巨大な英雄の像が建てられています。その彫刻の一方の腕は人類に向け水平に伸び、もう一方の腕は天を指して上方に向けられています。このイメージはビジョン心理学の前提をうまく象徴しています。私たち一人ひとりが天と地をつなぐパイプラインになることができるのです。恩恵が私たちをとおして他の人たちを助けます。愛やつながりについて学んだことを、すべての人たちのために分かち合うことができ、神のひらめきのためのアンテナになることができるのです。
科学、数学、ビジネス、サービス、哲学など、人々がどんな道を選ぼうとも、もしもこうした道が十分に究められたら、それらはいずれはみな霊的な道となります。すべての道が“山の頂上”へと続いているのです。同じように、もしも宗教的な道が十分究められれば、それらもまた同じ神秘的な探究や理解につながっていきます。山の頂上では、あらゆる宗教からの量子物理学者、数学者、そして様々な宗教の神秘家が同じ体験を、異なる言語で語っています。
ビジョン心理学はそれがどんな道であろうと、それぞれがそれぞれの道を進むのを手助けします。人間関係に親密感をもたらし、この地上に天をもたらすために何をすればいいのかを示してくれます。人生から自分を切り離さず、他の人たちから自分自身を分離させずに、ハートに忠実に生きていると、毎瞬毎瞬、自分たちに注がれている愛にフォーカスすることができます。この場所にいると、天との関係をとおして、ごく自然に愛、滋養、育むといった体験をするようになります。私たちの注意が自分のセンターの外にはずれ、今この瞬間以外のことに注がれていると、今、手元で起きている恩恵の流れを体験するのがむずかしくなります。
今、この瞬間に起きている高いレベルの愛に気づくためには、天と一致していることが必要です。その愛の前にあっては、人間の持つどんな問題もニーズも消え去らないものはありません。私たちが完全に知り抜かれ、わかってもらえ、大事にされているのだとわかれば、解消しないニーズなど何もないのです。私たちは決してひとりではない、私たちの本質は純粋なる愛なのだとわかれば、解消しない問題など、何もないのです。